日本 に眠る地上資源

金属原料の鉱山から採掘できる天然資源には限りがあり、場合によっては、十数年のうちにもこれまで経験したことのない早さや規模で資源の枯渇に直面するおそれも生じています。また、鉱物資源の採掘に伴いさまざまな環境問題が発生しています。加えて、精密機器の必需品である貴金属・レアメタルの安定供給も大きな課題となっています。

他方で、我が国に存在するさまざまな使用済製品の中には、原材料として使用した有用な金属資源が多く含まれています。そこから、金属資源を回収し、再利用することができれば、新たに鉱山から採掘する天然資源の投入量を抑制することができます。

鉱山から採掘される地下資源は基本的に産出国と消費国が異なっていますが、使用済製品の中に含まれる金属資源(地上資源)は、産出国と消費国が一致する可能性が高いのが大きな特徴です。例えば、我が国においては、自動車の排出ガス浄化装置の触媒に使用されている白金の需要が大きく、使用済製品として多くの触媒が発生しています。これをそのまま廃棄物として処分せずに、分別収集を行い白金を回収し、新たに製造する触媒の原材料として使用することができれば、海外の鉱山から輸入する白金をその分減少させることができます。

地上資源として、我が国にどれだけの金属資源が存在するのか、推計する研究が行われています。その推計結果によれば、我が国に蓄積されている金属資源(地上資源)の量は、鉄12億トン、銅3,800万トン、銀6万トン、金6,800トン、レアメタルであるタンタル4,400トン、リチウム15万トンとなっています。これを、世界全体の現埋蔵量に占める割合で考えると、鉄1.62%、銅8.06%、銀22.42%、金16.36%、タンタル10.41%、リチウム3.83%となります。