12月1日は、鉄の記念日です。
今からおよそ140年前の安政4年(西暦1857年)にこの日に、
わが国で初めて近代的な洋式高炉から銑鉄が生産されたことを記念して制定されたものです。
開国・国防を巡る問題から、各地・各藩において反射炉が築かれ、
大砲の鋳造が盛んに行われていました。
そうした中で南部藩士・大島高任の研究と指導による
洋式高炉の建設と操業は、
良質銑の生産を目的としたものであり、
歴史的にも技術的にも注目すべき出来事でした。
その場所は当時の南部藩領内・大橋、現在の岩手県釜石市おなり区部に当たり、
わが国では数少ない高品位鉄鉱石の産地でした。
大島高任によって建設・操業された洋式高炉は、
小規模(能力は日産2t程度といわれる)ながら鉄源が鉄鉱石であることかや、
恒久的な炉で原料装入や出銑が連続化されているという点で、
今日の大規模な高炉操業と同じ原理によるものでした。
これまでは映画「もののけ姫」に出てくる「たたら」吹きといわれる古来の方法で、
砂鉄と木炭に細々と和鉄の生産を行っていました。