鉄スクラップの発生量と循環資源の高度利用と資源確保

愛知県名古屋市鉄くず回収、スクラップ処分、てつくず処理の山下商店 山下勝弘です。

現在市中スクラップは年間約2,567万トン(2019年度)が回収され、リサイクルされていますが、その発生量は鉄鋼蓄積量と大きく関係しています。

鉄鋼蓄積量とは、日本国内で使用され、現在何らかの形で国内に残っている鉄の総量のことで、その形態はビルや橋などの建築物や自動車、家電製品からカミソリの刃までさまざまです。現在の鉄鋼蓄積量は13億トンを越えており(2018年度)、さらに増加し続けています。

これまで鉄スクラップの発生量は鉄鋼蓄積量の2~3%で推移しており、鉄鋼蓄積量の増加とともに鉄スクラップの発生も増加が見込まれています。

これらスクラップの収集の形態はさまざまですが、専門の回収業者が集荷したり、建物や自動車などの解体業者が鉄以外の付着物や部品をある程度まで取り除いたものを、スクラップ加工業者で加工するのが一般的です。

3Rの取組の進展により、近年、我が国の物質フロー指標は大きく改善しています。特に循環資源の活用については、2010年度
の循環利用量が2000年度から比べ3300万トン増加(下図参照)、循環利用率(=循環利用量/[循環利用量+天然資源投入量])
についても、第二次循環基本計画で定めた2015 年度の目標を前倒しで達成するなど、着実に進展しています。

他方で、元の製品の品質には戻らず、品質の低下を伴うリサイクルが行われることが多く、リサイクル費用の削減も大幅には進んでいないことが多いと考えられています。
また、資源の投入という入口側の側面からみると、我が国では金属資源が国内でほとんど採掘されておらず、海外からの輸入に頼っています。

近年、金属資源の価格が高騰する傾向にあるほか、これまで世界全体で採掘した資源の量(地上資源)と現時点で確認されている今後採掘可能な鉱山の埋蔵量(地下資源)を比較すると、既に金や銀については、地下資源よりも地上資源の方が
多くなっていると推計されており、地上資源をより一層活用していく必要性が高まっています。

このような状況の中で、グリーン・イノベーション(環境・エネルギー分野におけるイノベーション)を推進し、環境改善を達
成しつつ景気変動に影響されにくい競争力のある循環産業(廃棄物処理にとどまらず、廃棄物等を積極的に循環利用する循環型社
会形成に寄与する環境産業)を育成していくことにより、環境負荷と経済成長の分離を進めていくことが重要です。循環型社会を構築するためには、どの程度の資源を採取、消費、廃棄しているのかという経済社会における物質フローを把握することが第一歩となります。これを的確に把握することで、廃棄物等の発生抑制や物質の循環利用、さらには社会に投入される物質全般の効率的な利用を進めること
ができます。
我が国の物質フロー(2010年度)を概観すると、16.1億トンの総物質投入量があり、7.1億トンが建物や社会インフラなどとして蓄積されています。また1.8億トンが製品等として輸出され、3.2億トンがエネルギー消費・工業プロセスで排出され、
5.7億トンの廃棄物等が発生しているという状況です。

このうち循環利用されるのは2.5億トンで、これは、廃棄物等の発生量の43.4%に当たります。

 

 

 

 

 

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