電気炉による製鋼の場合、原料として用いるのは鉄スクラップです。3Rの取組の進展

現在市中スクラップは年間約2,567万トン(2019年度)が回収され、リサイクルされていますが、その発生量は鉄鋼蓄積量と大きく関係しています。

鉄鋼蓄積量とは、日本国内で使用され、現在何らかの形で国内に残っている鉄の総量のことで、その形態はビルや橋などの建築物や自動車、家電製品からカミソリの刃までさまざまです。

現在の鉄鋼蓄積量は13億トンを越えており(2018年度)、さらに増加し続けています。これまで鉄スクラップの発生量は鉄鋼蓄積量の2~3%で推移しており、鉄鋼蓄積量の増加とともに鉄スクラップの発生も増加が見込まれています。

これらスクラップの収集の形態はさまざまですが、専門の回収業者が集荷したり、建物や自動車などの解体業者が鉄以外の付着物や部品をある程度まで取り除いたものを、スクラップ加工業者で加工するのが一般的です。

各処理プロセスの紹介

ギロチンシャー:処理プロセス

大型構造物を的確に切断、高処理能力で安定供給

シュレッダー:処理プロセス

高純度・高比重のシュレッダー製品を提供。

電気炉による製鋼の場合、原料として用いるのは鉄スクラップです。

アーク式と高周波誘導式がありますが、ここでは一般的なアーク式についてご説明します。

これは電極と鉄スクラップとの間にアークを飛ばし、その熱で精錬する方式です。アーク式電気炉は蓋のついた鍋のような形で、蓋に黒鉛で出来た太い電極が垂直に差し込まれています。

電流を流すと鉄スクラップと電極との間にアークが発生し、そのアーク熱で鉄スクラップは溶けていきます。

その際に高温をねらって酸素を吹き込み、反応熱を得ます。この工程を酸化精錬といい、これに続いて酸素や硫黄を取り除く還元精錬を行ないます。還元精錬では、酸化精錬で出来た酸化性のスラグ(製鋼カス)を炉の外へかき出して

から粉コークス、石灰などを加え、還元性のスラグを形成させます。
そして、粉コークスと石灰とが高い熱によってカーバイト(炭化カルシウム)となって脱酸、脱硫を行います。

さらに粉コークス・フェロシリコンなどを加えながら、鋼を目的の成分に導いていきます。酸化精錬と還元精錬の二段構えの精錬がアーク式電気炉製鋼の特徴です。

高炉による製鋼の場合、高炉(溶鉱炉)で銑鉄をつくる「製鉄(製銑)」と、その銑鉄を転炉で精錬して各種の鋼を作る「製鋼」の二段階になっています。

高炉の本体は細長いトックリ型で、鉄鉱石とコークスを交互に投入し約1200℃の熱風を吹き込みます。するとコークスが燃えて炉の温度が上がり、鉄鉱石から鉄分がとり出され、溶けて炉の底にたまります。

これを銑鉄といいます。数ヶ所の出銑口から流れ出した銑鉄は、ほとんど溶けたまま貨車に積まれ、けい素やりん、硫黄を除去する溶銑予備処理という工程を経て製鋼工場へと運ばれ、転炉(ずんぐりした壷型)に装入されます。

銑鉄は炭素分を多く(4~5%)含んでいるため、硬く、もろいので、これを粘りのある強靭な鋼(はがね)にするには炭素を徹底的に減らし溶銑予備処理でとりきれなかった不純物を除去する必要があります。

これが製鋼の目的です。転炉に少量の鉄スクラップを装入し、続けて溶けた銑鉄が入った取鍋から、炉体を傾けた転炉の口に銑鉄を注ぎ込みます。

再び、炉体を立てて精錬が開始されます。生石灰などを入れ酸素を吹き込み、不純物を除去した後、溶けた鋼は連続鋳造設備により鋼片(大きな鋼の塊)という半製品に固められスラブ、ブルーム、ビレットという大まかな形を与えられます。

その後、加熱され、圧延機で押し伸ばされて線材、厚板、薄板、鋼管など、いろいろな形の鋼材になります。

これまで、3Rの取組の進展、個別リサイクル法等の法的基盤の整備とそれに基づく取組の推進、国民の意識の向上等により、
最終処分量の大幅削減が実現するなど、循環型社会形成に向けた取組は着実に進展してきました。しかし、世界規模で資源制約が
強まる中で、天然資源の消費を抑制していくことがより強く求められていること、循環基本法における優先順位がリサイクルより
も高い2R(リデュース、リユース)の取組が遅れていることのほか、廃棄物等から有用資源を回収する仕組みが十分に整備され
ていないなどの課題は依然として存在します。
また、東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故の経験から、環境保全と国民の安全、安心をしっかりと確保した上
で循環資源の利用を行うことが、今まで以上に求められています。
これらのことを踏まえ、循環型社会の形成に関する政策課題は、資源循環を量の側面から捉え、廃棄物の減量化に重きをおいて
リサイクル等を推進していくという段階から、質の面からも捉え、かつ、環境保全と安全・安心を確保した上で、廃棄物等を貴重
な資源やエネルギー源として一層有効活用して資源生産性を高め、枯渇が懸念される天然資源の消費を抑制するという新たな段階
に進んでいます。
また、アジアを中心とした途上国では、高度経済成長期の我が国と同じく、廃棄物の急激な増加という深刻な問題に直面してお
り、世界規模での取組の必要性が高まっています。我が国のごみ問題やリサイクルに関する豊富な経験と知識をこれらの国々と共
有し、地球規模の循環型社会の形成に率先して貢献していくことも必要です。
このような現状を踏まえ、「第三次循環型社会形成推進基本計画」(2013年5月31日に閣議決定)では循環型社会の形成を政府
全体で一体的に実行していくため、今後の取組の方向性と2020年度(循環基本法制定20年後)に向けて実施すべき数値目標を示
しています。

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