商人道のルーツ近江商人から、「三方よし」の知恵を学ぶ 

 

「三方よし」の知恵は、近江商人の商売そのものに深く関わっています。

天秤棒をかつぎ全国へと旅立って行くときに、近江の商いは、「他国の商い」であるから、行った先の土地の人々に理解してもらわないと長く続かないし、商人として成功できませんでした。

「此処で儲けて、みんな近江に帰るんだろ?」

と思われたら商売ができない・・・。だからこそ地元に配慮した商売が必要でした。それが、売り手よし、買い手よしに加えて、「世間よし」が入って三方よしになった理由です。

それに引き換え、今の世の中は、「三方よし」とは程遠い気がします。一方だけが満足して、他の二方がとても苦しんでいても、知らない顔をしています。

大きな成功を手にしても、後輩たちにも参考になる家訓を多く残し、自ら自分を厳しく監督した近江商人。彼らは、決して利益のみを求め続けたわけではありません。それこそが本当の、商人道のルーツではないでしょうか?

リーマンショック後、アメリカのオバマ大統領が、「一部の不心得な投資家が発端で引き起こされた金融危機が全世界に影響を与えた」と残念そうに演説していました。アメリカにも「三方よし」の精神が、あったら良かったのかなと思います。